
![]() The Life And Times Of Jaco Pastorius ジャコ・パストリアスの肖像 |
スイスの著名な心理学者、 カール・グスタフ・ユングが唱えた学説によると 「芸術家であることは自閉症であることと紙一重、 両者はわずかな線によって区切られているだけ」ということだ。 ユングは「創造的な過程に見られる特質と、自閉症患者をより自己の中 に閉じ込めほかから疎外させる特質、つまり現実より幻想の世界を受け 入れ行動する、といった幼少時代に見られる精神分裂的行動形態とは 非常に似通っていることが多い」と推論している。 しかし、問題が生じるのは、このふたつの側面を区切っている境界線が はっきりしなくなり始めた時、芸術性と自閉症的特性の間にあった わずかな線が消えてしまう時である。ジョン・フランシス・パストリアス三世 の場合がそうだった。彼は現代の音楽界に強い影響をおよぼしたが、 またたくまに頂点を極めたのち、悲劇的な没落の道を辿った。 心身ともに打ちのめされ、無一文で宿無しとなり、まったく希望もなく、 現実から遠ざかり、そして、自分の血の海に顔を埋め、ひとり寂しく死んだ。 ジャコ・パストリアスの栄光と没落は、単なる道を踏み外してしまった天才の 悲劇的な物語ではない。それは、過大な宣伝でヒーローを作り出しては 昨日の新聞と共に捨て去ったメディアに対する告発でもある。 それは、貢献してくれた人達に背を向ける無言で冷淡な音楽業界に 対する告発。考えもなしに自分達のリーダーを砂の中に葬ってしまう ミュージシャン・ユニオンに対する告発。 必要な医療を提供しない政治機関に対する告発である。 |
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